複合芸術の可能性を
多様な活動を通して研究する

本研究科修士課程のカリキュラムは、現代の創造領域の実践を支える要素や条件の「複合性」の多様なあり方を理解し深く考察することを目的として、様々な領域の事例と理論を学ぶ「講義」、複合の視点から研究の技法を経験する「演習」、それらの学びの成果を踏まえて学外の社会と連携協働する「実習」を通して、学生各自が自身の研究を 深く掘り下げて実践させることのできる構成と内容となっています。なお、それぞれの指導は「複数形の学び」「異なる知の交流」を重視したチームティーチング(「セッション」)の形式で進められます。

複合芸術科目は、修士1年次の前期には、複合芸術への理解を様々な既存分野の視座から深めることを目的とした「複合芸術論」、そして学生一人一人の異なる研究テーマを交差させつつ他学生と協働してプロジェクトの立案と実践に取り組む「複合芸術演習」を配置しています。後期には、創造領域の先端的な取り組みを参照しつつテキストを中心に複合芸術の可能性を探る「複合芸術応用論」、および行政や企業などの学外組織をカウンターパートとして協働プロジェクトを企画実践する「複合芸術実習」を配置しています。なお、これらの科目は、学生個々人が取り組む修士研究と深く連動・連携するものとしてプログラムされています。



カリキュラム・ポリシー

本研究科の教育目的達成に向けた基本的な教育課程編成等の考え方は次のとおりです。

【修士課程】

    本研究科は、ディプロマ・ポリシーに基づく研究・教育の成果をめざし、複合芸術の対象領域をアート、デザイン、芸術学の3分野でとらえ、理論と実践から成る多用な複合の概念を踏まえた実践的なカリキュラムを、以下にカリキュラム・ポリシーとして示します。

  1. 1 教育課程は、複合芸術科目、複合芸術実践科目、制作技術演習科目(選択科目)、特別研究科目から構成します。
  2. 2 複合芸術科目は、複数の研究分野を領域横断的に学ぶことで、複合芸術の多様な研究視点を獲得し、主体的に新しい芸術を探求・創造していくための論理的能力を養います。
  3. 3 複合芸術実践科目は、複合芸術の専門性を芸術と社会をつなぐ媒体としてとらえ、地域と社会との関わりにおいて問題点を発見し、解決に導く実践力・発信力を養います。
  4. 4 制作技術演習科目は、研究活動の実践を支える素材・媒体・技法・理論を修得し、新しい芸術を探求・創造するための技術を養います。
  5. 5 特別研究科目は、個々が設定したテーマを継続的に研究することで、広く社会に応用できる企画力、構想力、計画力を養います。

<学修成果の評価>
学修成果は、演習・実習科目における時間外制作活動も含めた成果をもって評価します。また、授業の到達目標や内容、成績評価方法・基準等をシラバスで明示し、厳正で客観的な成績評価を行います。

【博士課程】

  1. 本課程の教育目的達成に向けた基本的な教育課程編成等の考え方を、以下にカリキュラム・ポリシーとして示す。
    1 モノ・コトの複合性を要素単位で紐解く自立した研究を通じて、自らの分析力と解析力で現代芸術のみならず社会的事象の本質を捉える力を養う。
    2 表現と理論双方からの研究を通じて、複合の視点に基づく発想の転換や理論の応用を新たな表現や課題解決策につなげる力を養うとともに、表現と理論が相互に裏付けされた研究成果を導く。
    3 複合の視点からの研究を通じた表現や理論の成果を社会に広く発信する力と、実社会に適用させ人々を巻き込む求心力を養う。

    <学修成果の評価>
    学修成果は、研究展開科目・研究指導科目における時間外制作時間も含めた成果をもって評価します。また、「「博士論文」又は「博士論文および制作・活動の成果物」の提出資格」の条件となる「査読付き論文」や「審査を経て展覧会等に採用された作品等」も含めて学修成果を評価します。授業の到達目標や内容、成績評価方法、基準等をシラバスで明示し、厳正で客観的な成績評価を行います。

<複合芸術研究科での学びと実践例>
*作品制作:技法、領域、メディアを横断する新たな表現手法の開発
*芸術理論:美術批評、哲学、人類学、博物館学などの学びを通した創造領域の拡張
*アートマネジメント:企画立案、広報、運営管理などを包括したプロジェクトの実践
*アーバンスタディーズ:地域研究とアートプロジェクトを接続する活動の開発と実践
*情報科学:情報学、情報工学を背景とした芸術表現技術の研究と開発
*映像:映像や映画の制作、アーカイビング、情報発信を通した映像領域の拡張
*ソーシャルデザイン:社会課題の解決を目指して多様な領域を横断・複合するデザイン実践


アセスメント・ポリシー(学修成果の評価方針)

【修士課程】

【博士課程】


複合芸術科目【6単位】

複合芸術科目は、現代芸術領域における芸術表現活動を現代社会や地域の中で実践していくため、必要となる専門的な知識を学ぶ科目です。
今後展開させていく複合芸術の理論構築に向けて、「複合芸術」が機能する多様なステージでの役割や諸条件を学ぶ必修科目として「複合芸術論」を配置しています。また、より応用的な知識を身に付けるために、複合芸術の社会的な展開・応用を学ぶ「複合芸術応用論(実践)」、複合芸術の表現可能性を学ぶ「複合芸術応用論(理論)」を配置しています。


複合芸術実践科目【8単位】

複合芸術実践科目は、学生個々の専門性のもと、領域を横断した複合的かつ高度な芸術表現と、その表現を持続させていくために必要な広い視を獲得するための必修科目として、1~2週単位の集中的な演習群によって構成される「複合芸術演習」を配置しています。
「複合芸術演習」は、「調査研究」「表現技術手法」「成果発信」「企画具体化」の4つに分類される項目群で構成し、その内容は社会動向や技術革新を踏まえて随時見直していくこととしています。さらに、複合芸術演習で学んだ多様な技法や制作技術演習で高めた自らの表現技術の可能性を実際に地域社会の中で実践することを目的に、選択必修科目として「複合芸術実習」を配置しています。


制作技術演習科目

複合芸術科目、複合芸術実践科目では足りない技術・知識などを補完するために用意されています。


特別研究科目【18単位】

本科目では、修士論文及び修士制作に関する指導を面談形式で行いながら、研究テーマの発表、年次制作・研究の発表及び報告書の提出という流れを通じて、修士論文または修士制作に繋げる研究テーマ設定をします。その上で、そのテーマに基づく制作・研究を行う中で新たな試みや修正を加え、複合的視点に立脚した一定の成果を得るとともに、研究の方向を定めることを目標とします。